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sophora

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【R18】わかりあえない【雪燐】

本格的に今月のSQで雪男がやばいかんじで、どうしたらよいの、そわそわってなって書いてしまいました。

雪男が視野狭窄になってるのが、すべて燐のためなんだけど、それゆえ誰よりも燐のことがみえてないと萌えるなぁと思って。
でも、燐兄さんが最後はなんとかしてくれるんですよ!だから大丈夫なんだ。そう信じてます。

R18なのでお気をつけを。
 薄暗い部屋の中、ベッドの上で兄を組み敷き、ぼんやりと浮かび上がるその姿を雪男は目をこらして見ていた。
「兄さん」
 呼んでも返事はない。燐は先ほどから両腕で顔を覆って、小さくしゃっくりをするように小刻みに胸を上下させている。泣いているのか、それとも恥らっているのか、雪男はわからないまま、その胸をなだめるように撫で下ろした。
 途中でひっかかった胸の尖りを指で摘むと、燐の全身がびくりと揺れる。それをみて、摘んだ指先に力を入れてつねるようにしたら腕で隠された瞳がこっそりと現れた。その瞳が雪男をとらえ、何かを訴えてくる。それが非難を示しているのか、もっと、といっているのか雪男には読み取ることができない。
 そもそも、この行為を燐が本心で受け入れているのか、それとも仕方なく流されているだけなのか、それさえも雪男にはわかっていない。
 燐が顔を覆っていた腕をはずし、それを雪男の首へと回した。そこでようやく、燐が続きを求めているのだとわかり、雪男は燐の唇を吸った。
 開けられた口の中に舌を差し込んで、燐の咥内を荒らす。舌と舌とがざらざらと擦れあうと単純に痺れるような快感がわき上がった。兄の口の中なのだ、それを己の舌で犯しているのだと思うと雪男に震えるような疼きが走ったが、はたして兄はそれをどう思っているのか。
 感じてはいるのだろう。蕩けるような顔をすることからそれはわかる。しかし、それはただ単に与えられる刺激に反応しているからだけなのかもしれない。肌と肌、粘膜と粘膜が触れ合えば、誰とだって快楽は得られる。
 雪男の感じている快楽と燐の感じている快楽は根本的に違うのかもしれない。しかし、それを確認するすべはない。言葉に出して聞けばもう少し何かが違ってくるのかもしれなかったが、雪男にはそれができない。
 よくわからないので、雪男はキスをしながら雪男は燐の胸の突起をつねった。再び燐の身体が跳ねる。何度もしている行為なので、どうすれば燐が高まるのか、それは知っている。回数を重ねてもわからないのは、燐の意図だけだ。
「ん、ん、ぁあ」
 拒んでいる風はない。だから雪男は次の行為へと駒を進める。手を下半身に忍ばせ、勃ちあがったものをとらえ扱きあげる。ぐぅっと燐は喉をならし、腰を突き出してくる。おそらくは無意識に。兄の身体は非常に快楽に従順だ。
 だが、雪男が気になるのは燐の思いの方だった。回数を繰り返すのは、快楽に流される延長だとして、初めから雪男を拒む姿をみせなかったのは一体どうしてなのだろう。
 だいたい、普段から燐の本当の気持ちなど雪男に推し量れたためしなどないのだ。
 単純な行動パターンはわかる。こんな風に言えば、こういい返してくるというのもわかる。だが、そこに隠された燐の気持ちはわからない。雪男が勝手に想像するだけだ。そしてそれは雪男のただの妄想でしかない。
 雪男が燐に手を伸ばしたのは、その自分の妄想に行き詰まりを感じたからだ。兄のことを考えれば考えるほどわけがわからなくなって、苛立ちが募って、そうしてどうしようもなくなった時に、身体をつなげてしまえばもっと兄のことがわかるのではないかと思った。十五年間培ってきた兄弟としてのやりとりだけではないつながりによって、もっと兄を理解できるようになれば、より安全に兄を守ることができるようになるだろうと、そう思ったのだ。
 だが、燐と身体をつなげて出た結論は、結局、人はどこまでいってもわかりあえないものなのだということだけだった。
 家族だろうと兄弟だろうと双子だろうと、とどのつまり別個の個体であり、別の意識をもつ者ならば、想いを完全に共有しあうなんて無理な話だった。
 寂しい、と雪男は思った。目の前に、自分の一番求める人がいるはずなのに、手に入れたはずなのに、その人はいつまでたっても雪男の手の届かないところにいる。
 寂しい、寂しいとじわじわと全身に悲しみが広がっていく。それを紛らわそうと、兄の中に己をうずめてみる。ああっと高い声が上がって、燐は身体をのけぞらせた後、雪男が動きやすいように体勢をかえた。兄さんが僕を受け入れようとしてくれている、とほんの少し慰められて、雪男は燐の後孔の奥へとペニスを沈めていく。
「雪男、雪男、」
 燐は雪男の律動に合わせて、自らも腰を振る。そして、雪男の名前を何度も呼び続ける。
だが、それも彼岸の彼方からの呼びかけのように感じられて、雪男の心までは届かない。
 燐の肉の温かさよりも、じわじわと侵食しつづける冷たい闇の方が指先に伝わるのが早くて、雪男はこのまま全身が闇で染まってしまうのではないかという思いにとらわれた。
 その思いを振り払うように、腰を使う。燐が雪男の腕に縋りつく。汗ですべるので、爪をたてるほどきつく握りしめる。その痛みがわずかに雪男を正気に返らせる。
「兄さん、ねえ」
 ――どうして、兄さんは僕を受け入れてくれるの。この、闇に呼ばれ、そこに堕ちていこうとする身体を引き寄せようとするの。
「ぁ・・・・・・ん、ぁ、い・・・い・・・っ」
 燐は喘ぎをもらしながら、目を細めて雪男を見る。快楽に濡れた、甘い表情。
 雪男はやはり、そんな顔で雪男をみる燐のことがわからない。それがくやしくて、胸が苦しくて、叫びだしたい気持ちになる。燐から与えられる表情に同じように答えられない自分に吐き気がして、このまま腐りおちてしまえばいいのにとも思う。
「なに、お前、ないてんの」
「泣いてない、汗だよ」
 ぽたり、と燐の顔の上に落ちた水滴を雪男はそう断定した。
「だって、」
「汗だ」
 自分から流れ出るもの、それが涙なんて綺麗なものであるわけがない。
 もう、それ以上余分なことを燐が言わないように、雪男は腰を激しく揺さぶった。自分の身体の下で新たな嬌声が上がる。それがどこか遠くで起こっている出来事のように感じながら、雪男は燐の中に自分の汚れた欲望を吐き出した。
 はっと燐が息を吐く。自分も射精し終わって、満足げに雪男を見上げる。とても、いとおしげに雪男をみる。
 ――僕はあなたを汚しただけのに、どうして僕をそんな目でみるの、兄さん。
 兄はそうやっていつも雪男を浄化する。醜く惨めなコンプレックスも、傲慢なプライドも、兄を貶しながらも崇め、盲信するこの気持ちのすべてを、天に昇っていく殉教者の祈りのように、綺麗なものにしてしまう。
 それが雪男にとってはひどくむなしく感じられる。今までの兄に向けてきた気持ちのすべてが否定されたような気がしてくる。
 だから、雪男はあえて自分を兄想いの弟という枠におさめない。兄に懸想する気狂い者なのだと己を認識し、ほの暗く腐っていくこの想いを密やかに育てていくのだ。 











 揺さぶられる身体、快楽でどこか白んだ頭の中で燐は思った。
――雪男が、泣いてる。
幼い頃、燐は雪男が泣いていればどんなところにいても飛んでいったものだった。不思議とそんなときは雪男の声が聞え、いじめられている時も、喘息で苦しんでいる時も傍にいって雪男を慰めた。
「雪男、雪男」
 瞼をうっすら開いて、自分の身体の上に覆い被さる黒い影をみつめる。泣かないで、という代わりに何度もその影に向かって名前を呼ぶ。雪男は答えない。その瞳に燐が映っているのかもわからない。雪男が何を考えているのかなんて、燐にはわかるはずもない。今の雪男は燐の何倍も賢いので当然のことだが。昔は雪男のことだったらなんでも知っていると思っていたのに、いつの間にこんな風になってしまったのか。
 それでも、俺は兄貴なんだ、と燐は自分に言い聞かせる。雪男が泣いていたら慰めるのは自分だ。その役割だけは譲れない。だから、初めて雪男がこの行為を燐に求めてきたときも、燐はそれで雪男が慰められるなら、と思ったのだ。
「ゆ、き・・・・・・、ぁ、んんっ」
 ぐちゃぐちゃと内壁をかき回されて、燐は声をあげる。気持ちいいのと気持ち悪いのとのぎりぎりの境目を綱渡りするようなスリルが雪男とのセックスにはある。それを完全な快楽だと言いきれないのは、行為の最中に雪男の悲しみが燐の身体に流れ込んでくるからだ。
 悲しい、悲しいと燐に触れてくる雪男の指先、唇、その他すべてが物語る。どうした、何があった、何が悲しい?そうやって聞ければいいのに、聞いても雪男はいわないだろう。そういう確信があるから、燐はそれを尋ねない。
 悲しみに浸っている雪男はどこか遠くの世界の人みたいだ。ここが、燐の隣こそが雪男の帰る場所であるはずなのに、まるで故郷は別のところにあるとでもいうように郷愁にかられた瞳でどこかをみている。
 自分を放って。高まったこの熱は二人で作り上げたもののはずなのに、今はもう夢中になっているのは燐だけだった。こちらに気づいて、振り向いてといわんばかりに意図した喘ぎ声をあげても、雪男は壁をへだてた向こう側にいる。そこからこちらを見ている。悲しげに。
 つながっているのは下半身だけで、心はどこか遠くへ離れていくようだった。
「なに、お前、ないてんの」
「泣いてない、汗だよ」
 ぽたりと真上から落ちてきた滴。それが燐の頬を濡らす。つっと流れ落ちて燐の口の中に入ったそれは塩辛い。
「だって、」
 これはお前の涙の味だ。お前の悲しみの味だ。
「汗だ」
 雪男は認めず、その代わりに奥を激しくつかれた。ポイントを攻められて、燐は思わず喘ぐ。せめて、快楽だけでも感じてほしいと雪男が言っているような気がしたから、燐は余分なことを考えるのをやめて、快楽に身を任せた。
 しばらくして、燐の中に吐き出された温かいものが腹の奥底に広がって、燐はほっと息を吐く。やっと雪男を感じられたような気がした。雪男の出した白濁の液は雪男自身だ。ようやくそれに満たされて、燐は満足げに雪男をみた。
 雪男は苦しそうに眉を寄せ、燐を見下ろす。どうしてそんな顔をするのか、燐はやっぱりわからない。わからないけれど、雪男がそうしたいのならばすればいいと思った。
 たとえ雪男が何に呼ばれ、どこへ行こうとも、燐が連れ戻しにいけばいいだけの話だった。たとえ、それが天国だろうが、地獄だろうが、虚無界だろうが。
 雪男がどこに行こうともこのぬくもりを離すつもりはないのだと、燐は心に誓って、拒むように目を逸らす雪男に微笑みかけた。

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プロフィール

HN:
如月 ちょこ
性別:
女性
自己紹介:
■ 青の祓魔師二次創作
 テキストサイト。腐向け。
■ 雪燐中心です。
   藤メフィもあります。
■ 書店委託開始しました。
   詳細はofflineで。

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