【R18】ひとつになる方法
- 2011/06/05 (Sun)
- 雪燐小説 |
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本番になかなかいつもたどり着けないので、それだけを目標に書いた。
直前から始めたつもりなんですけど、やっぱり前置きながいですね~。
後半、なんか燐がおかしい。どうしてこうなった。
R18なのでお気をつけを。
直前から始めたつもりなんですけど、やっぱり前置きながいですね~。
後半、なんか燐がおかしい。どうしてこうなった。
R18なのでお気をつけを。
雪男は基本的に前戯が長い。
雪男が挿入の準備に入る前、俺は少なくとも一回、雪男がのっていれば二回ほどイかされる。雪男は、それはそれは丹念に日ごろの勤勉さをこれでもかと活かして、俺にあれやこれやをするわけだ。舐めたり吸ったり触ったり、よくもまあ、そんなにレパートリーがあるもんだと感心するぐらいいろいろやってくる。
当然はじめの段階で我慢がきかなくなる俺はその間何度も早く入れろと叫ぶのだが聞き入れられたためしがない。
雪男の主張は『兄さんを傷つけるわけにはいかないから』と言うことらしいが、俺が感じてヘトヘトになるまで絶対入れようとしないのって、それってなんの拷問なの。『兄さんは感じてからじゃないと身体開いてくれないじゃない』って、雪男はいうけどもそんなこと俺の知ったことか。
俺からしてみれば腹に刀刺されてもしばらく放っておけば塞がるような身体が雪男程度のもの(いや刀と比べてという意味だ。別に雪男のがふにゃふにゃだと言っているわけではない)で傷つくわきゃねーだろ、どんだけ過保護なんだよとか、それより目の前でこっちが喘いでいるのに自分のソレを放っておけるなんておまえは不感症なのか?それとも枯れてんのかといいたくもなる。なるのだが、雪男が挿入準備に入る頃の俺は第一ラウンドを終えてへにゃりとしているため文句の一つも言えない。そんな日常。
そういうわけで今晩も俺はベッドの上で死体さながら力なく仰向けになり、準備をしはじめた雪男をぼやけた視界の中眺めていた。俺の身体に手間隙かけることになんの面倒も感じていない風の弟は、慣れた手つきで机の上に置かれた手のひらサイズの容器を取る。俺はそれを見て、ふと日頃抱いていた疑問を思い出した。
「なぁ・・・・・・ゆきお」
「なあに、兄さん」
そのプラスチック性のボトルの蓋をあけ、慎重に中身を掌の上にとり出しながら、雪男が聞き返してくる。俺は容器から出てきた無色透明のトロリとした液体をじっとみつめて尋ねた。
「いつもみてて思うんだけど・・・・・・おまえ、それどーしてんの」
どうみても、それ専用の液体にみえる。ボディオイルのようなものにしてはさらっとしてるし、それになんだかそれをつけられるとその部分がじくじく熱をもって、すごいことになって・・・・・・まあ、つまりそれ用の液体なのだろう。
問題はこの大人の玩具的な品物を雪男がどうやって手に入れてるかってことだ。十五歳の雪男がそういった店で買えるとは思えない。ネット通販してる気配もない。
他の手段となると――俺の知らないところで悪いお友達とでもつきあっているのだろうか?もしそんなことあったら俺、墓前で親父になんて報告したらいいんですか。
ごめんなジジィ、俺の監督不行き届きで雪男が悪の道に・・・・・・。
「ああ、そんなこと」
が、雪男はそんな俺の心配を余所にあっさりと回答を提示した。
「兄さん、僕の専門何かしってるでしょう」
「悪魔薬学?」
俺が小首をかしげると、ふふっと笑いながら雪男はちょっと得意げに答える。
「そう。そういうの研究してると欲しい材料は大概手に入るんだよ。それに僕が調合できない薬ってめったにないから」
そうですか。するとこれは雪男先生によるオリジナルレシピということですね?
「あ、大丈夫。身体に悪いものは入ってないから」
俺のうろんげな視線に雪男はにこりと笑った。いやいやいや。
「そーゆー問題じゃねえ!」
なんつーもん作ってんだ、雪男。そんなもん作るために祓魔塾の先生はおまえに悪魔薬学教えたんじゃないと思うぞ。まったくもって嘆かわしい。
「ていうか、こんなときにそんなこと言わないでよ。ムードなくなるじゃない」
雪男は仰向けになっていた俺の身体をひょいと裏返し俺の尻に先ほどの液体をべとりと擦り付けた。
「なにがムードだ・・・・・・」
こんな風に乱暴に俺を扱っておいてムードなにもあったもんじゃない。
それよりも、いまどきの高校生がムードとかいうか?どんだけ親父なんだ、雪男。
「ほら黙って」
「んっ」
雪男は俺を黙らせるために口元に指を押し当てて、その逆の手の指を、液体のぬめりを借りて後孔にするりともぐりこませた。
悲しいかな行為に馴れた俺のそこは指一本程度だったら楽々と呑み込んでしまう。しかし、だからさっそく二本目を、とならないのが雪男なのだった。
雪男は入口を緩めるために何度も指の先っぽを出し入れする。入口がちゅくちゅく液体が音をたて、見えてはいないのにそこで何が起きているかをリアルに俺に伝えてくる。
「・・・・・・っ・・・・・・ふっ、ん」
入口が解けてくると、今度は浅い部分の襞に液体を丹念に塗り込めるようにぐりぐりと指を回した。そうすると、いつものことだが入口のあたりがぼわっと熱をもってむず痒いような感覚が抑えきれなくなる。
「・・・・・・ゆ、きお・・・なぁ」
もっと奥もやって欲しくて尻尾をぱたぱたふると、雪男にそれを掴まれてはむっとあまがみされた。
「兄さん、かわいい」
こういうのを猫なで声というのだろうか。ちらりと後ろを向くと雪男がとろけるような顔をしていた。雪男の顔に食べてしまいたい、と書いてある。
兄さん、おまえのどこらへんのツボをついちゃったんだろうか。と心配していると、雪男は本格的に俺の尻尾をくりくりいじったり舐めたり噛んだりしはじめた。
「ちょ・・・・・・や、ゆ・・・っ、それ」
ビクリっと身体が跳ねる。それはまるで前をいじられた時のような直接的な快感だった。
「なに?兄さん、尻尾で感じてるの?」
雪男は初めて知った事実に驚きの声を上げた。驚いたのはこちらも同じだ。悪魔にとって尻尾は急所。へたにあたったり踏まれたりしたら激痛で大変なことになるのは知ってたけど、こういう意味でも急所だったとは・・・・・・。やっべ、むやみに外だしててその気になっちゃったらどうすんだよ。
「へぇ、そうなんだ」
あ、今なんか最もやばい人物に最大の秘密をしられてしまったんじゃないだろうか。
雪男はちょっとうわずった声でそう言うと手にした尻尾をゆっくりとしごいた。再び俺の身体にぞくりとした快感なんだか恐怖なんだかわからないものが沸き上がる。
「・・・ぁ、あ、あん・・・はぁ」
「すごいね、もしかして前いじるより感じてるんじゃないの?」
そんなわけはないと思いつつも雪男のいうとおりハンパない快感が頭のてっぺんまで駆け抜けていく。前は完全に勃ちあがっていて先走りの液がとろとろと溢れている。
「ゆ・・・きっ、やぁ」
「これからはこっちを中心にいじってあげようか?ね、兄さん」
雪男はいやらしく唇を横に引きながら俺の尻尾のどこを触ったら一番喘ぐのかと根元から順に辿っていく。
「やっ・・・だぁ・・・・・・あっ」
「ほら、やだやだいってないでどこがいいのか言って」
雪男はわざと俺の声が一際高くもれるところを指先でこする。脳天に痺れるような感覚が走って、がくがくと身体を揺らした。もう、だめだ。
「も……ぉ」
「もう?なに?」
口元をにやにやさせた雪男が俺の顔を覗き込んでくる。
「もう、いい加減にしろー!変態メガネ!」
たまらず俺のアッパーが雪男の顎に直撃した。
「兄さん。ごめん、調子に乗りすぎた」
俺が枕に突っ伏してしくしく泣きまねをしていると雪男がしゅんと頭を垂れている。殴られた拍子で眼鏡が幾分がたついて斜めになっていたが、それも気にせず反省モードだ。
こういう雪男もたまにはかわいくていいなぁなんて思ったりするが、この姿をみるための代償は結構大きい。
「俺やだっていったのに」
「だからごめん。二度としない」
雪男は本当に深く反省したのか、固く決意したというように宣言するので俺はあわてて身を起こした。
「べ、別に全然だめって言ってなんかないぞ。ほどほどにしろってことで」
変に頑固で真面目な雪男はこういう勘違いを早めに解いておかないとあとで大変な目にあうのだ。二度と俺に触らないとでもいわれたらたまらない。
俺はぽんぽんと雪男の頭を叩く。雪男は大人しく俺の肩口に頭を乗せている。
「わかればいいんだよ」
「うん、ごめんね」
雪男は謝罪の意味をこめてか、俺の頬にちゅとキスをする。なんだか、それがすごくかわいらしくて久しぶりに兄貴としての父性本能?に火がついて、お返しに額や目元や唇にキスを返してやった。ちゅ、ちゅと音を立てて、バードキス。なんか、いいかんじだ。これが雪男のいってたムードってやつなのかな。
そんなことをお互いに繰り返していると、いったん治まった熱がまたじわじわとわきあがってくる。
「兄さん……」
雪男もやる気になったらしい。甘く漏れる声音に、ちらりと閉じていた瞼の隙間から雪男をみると、雪男が先ほどの液体を自分のものになすりつけている。
そんなに大きくしてんなら、早く入れればよかったのに。
雪男は十分に育ったそれを、俺の脚を抱え上げて目的の場所へと押し付ける。ぬるり、としたものが敏感な場所にあてられて、俺は思わず声を上げた。
「…あっ……っ」
散々いじられた後のそこは、入り口のちょっとした抵抗だけで、雪男を迎え入れる。ぬめりに助けをかりて、雪男はぐいぐい腰を進めてくる。
「う…んぅ……はっ」
どうしてか雪男は入れる前はどこまでも慎重なのに、入れてしまえば案外性急になる。ぐいっと奥まで入れて、もう、これ以上中に入らないと思うところにいきつくと俺の腰を抑えつけてがんがん揺さぶる。
「あ、あ、んっ――はぁ」
俺は腹の下の方をかき回されて息も絶えだえになる。ほとんどまともな呼吸なんかできなくて、喘ぐのと同時に辛うじて空気を補給するといったかんじだ。
苦しい。吐き気に近い胃のせりあがりを感じることもときどきある。たぶん、いれる前の方がよっぽど気持ち良くて、身体的には楽なんだろうけど、俺はいつも雪男に早くいれろっていう。いれて欲しいと思うのは、俺の心の働きだ。身体とは別の、もっと、違った。
「兄さん……」
雪男の額から流れた汗が俺の顔の上にぽつぽつと落ちてくる。見上げると、眼鏡が汗で曇っていたので外してやる。雪男は一瞬眉をしかめて嫌がる動作をしたが、俺をせめたてる方が忙しくて拒むほどではない。
眼鏡をとった雪男はいつもの優等生じゃなくて素の雪男に近いような気がして好きだ。たった眼鏡ひとつのはずなのに。
眼鏡を外されて俺のことをしっかり見ることができなくなったからか、雪男は自分の快楽の方に没頭しはじめたようだ。きつく目を閉じて、顔を紅潮させ、息を荒げてる。
「……っ…はっ」
「ゆっ……き…お、あっ、あ」
雪男の顔をみて、雪男の名前を呼んでいると胸の奥がぎゅっと熱くなった。愛しさと、切なさとそんなものが交じり合って泣きたくなってくる。そうなると、兄弟なのにとか、男同士なのにとか、弟なのにとか、口には出さないけど本当はいつも俺の中にくすぶっているそういう気持ちが、どうでもいいことのように思えてくる。
ばかな俺だってこの関係が普通じゃないってことはわかってる。心も身体も雪男で満たしてしまって、それですべてが満足できてしまえる俺は、そして雪男をそんな世界に無理やり引きずり込んでしまっている俺は、やっぱり人として正しくなく、悪魔といわれてもしょうがないんだろう。
「ぁ…あ……はっ…んぅ」
「兄さん……っ……っ」
どろどろと身体が溶けていく。肉襞は雪男のものをぴったりと包み込んで、断続的に痙攣した。雪男の動きが激しくなって、ぐちゃぐちゃと湿った音を立てた。身体が熱くて、熱くてどうしようもない。下半身は特に。急激に射精感が高まって、俺は雪男の腕に爪を立てた。
「いっ……あっ…ゆ…きおっ、も、だめっ…あ、あっ」
「イきそうなの?」
こくこくとうなずくと、雪男の手が俺の勃ったものに添えられた。そのまま激しく動かされて、俺は悲鳴のような声を上げた。
「あ、あ、いっ……あああっ」
「―――っ」
身体の奥に熱いものがどろりと吐き出された感覚がして、俺は自分の欲望を放った。ぞっとするほどの快感が全身を突き抜ける。そして、失墜感。
それは地獄の底に落とされる恐怖にも似ていた。俺がいつも抱き合った時最後に抱く妄想。実の弟を貶めている背徳罪でいつか自分は虚無界に落ちてしまうのではないかという、そんな妄想。
「兄さん――」
ぎゅっと雪男に隙間なく抱きしめられて、俺は自分のばかげた妄想からようやく引き上げられる。
「大丈夫?」
雪男が顔を覗き込んでくる。俺は泣き顔をみられたくなくて、雪男の首元に顔をうずめながら、背中に腕を回す。小さな子供が親にしがみつくみたいに。
「どうしたの、兄さん。そんなにぴったりくっついたら離れられないじゃない」
すると、俺の中から出ていこうと腰を引いていた雪男がふっと笑った。
「離れる必要なんてないだろ」
「なに、それ」
ますますおかしそうに雪男が笑い声をあげる。兄さん、子供みたいだと言うので、子供で悪いかと返したら、キスをされた。
やっとひとつになれたんだから、離れるなんてもったいない。そういったら、おまえ、どうする?
いつも早くいれろって騒ぐのは、おまえと早くひとつになりたいからなんだっていったら、おまえ、どうするんだよ。雪男。
「しょうがないなぁ。今日だけだよ」
そういって、おまえは俺を甘やかすから。俺はどこまでもつけあがって、最後にはきっとおまえを喰らいつくしてしまうんだろう。
雪男が挿入の準備に入る前、俺は少なくとも一回、雪男がのっていれば二回ほどイかされる。雪男は、それはそれは丹念に日ごろの勤勉さをこれでもかと活かして、俺にあれやこれやをするわけだ。舐めたり吸ったり触ったり、よくもまあ、そんなにレパートリーがあるもんだと感心するぐらいいろいろやってくる。
当然はじめの段階で我慢がきかなくなる俺はその間何度も早く入れろと叫ぶのだが聞き入れられたためしがない。
雪男の主張は『兄さんを傷つけるわけにはいかないから』と言うことらしいが、俺が感じてヘトヘトになるまで絶対入れようとしないのって、それってなんの拷問なの。『兄さんは感じてからじゃないと身体開いてくれないじゃない』って、雪男はいうけどもそんなこと俺の知ったことか。
俺からしてみれば腹に刀刺されてもしばらく放っておけば塞がるような身体が雪男程度のもの(いや刀と比べてという意味だ。別に雪男のがふにゃふにゃだと言っているわけではない)で傷つくわきゃねーだろ、どんだけ過保護なんだよとか、それより目の前でこっちが喘いでいるのに自分のソレを放っておけるなんておまえは不感症なのか?それとも枯れてんのかといいたくもなる。なるのだが、雪男が挿入準備に入る頃の俺は第一ラウンドを終えてへにゃりとしているため文句の一つも言えない。そんな日常。
そういうわけで今晩も俺はベッドの上で死体さながら力なく仰向けになり、準備をしはじめた雪男をぼやけた視界の中眺めていた。俺の身体に手間隙かけることになんの面倒も感じていない風の弟は、慣れた手つきで机の上に置かれた手のひらサイズの容器を取る。俺はそれを見て、ふと日頃抱いていた疑問を思い出した。
「なぁ・・・・・・ゆきお」
「なあに、兄さん」
そのプラスチック性のボトルの蓋をあけ、慎重に中身を掌の上にとり出しながら、雪男が聞き返してくる。俺は容器から出てきた無色透明のトロリとした液体をじっとみつめて尋ねた。
「いつもみてて思うんだけど・・・・・・おまえ、それどーしてんの」
どうみても、それ専用の液体にみえる。ボディオイルのようなものにしてはさらっとしてるし、それになんだかそれをつけられるとその部分がじくじく熱をもって、すごいことになって・・・・・・まあ、つまりそれ用の液体なのだろう。
問題はこの大人の玩具的な品物を雪男がどうやって手に入れてるかってことだ。十五歳の雪男がそういった店で買えるとは思えない。ネット通販してる気配もない。
他の手段となると――俺の知らないところで悪いお友達とでもつきあっているのだろうか?もしそんなことあったら俺、墓前で親父になんて報告したらいいんですか。
ごめんなジジィ、俺の監督不行き届きで雪男が悪の道に・・・・・・。
「ああ、そんなこと」
が、雪男はそんな俺の心配を余所にあっさりと回答を提示した。
「兄さん、僕の専門何かしってるでしょう」
「悪魔薬学?」
俺が小首をかしげると、ふふっと笑いながら雪男はちょっと得意げに答える。
「そう。そういうの研究してると欲しい材料は大概手に入るんだよ。それに僕が調合できない薬ってめったにないから」
そうですか。するとこれは雪男先生によるオリジナルレシピということですね?
「あ、大丈夫。身体に悪いものは入ってないから」
俺のうろんげな視線に雪男はにこりと笑った。いやいやいや。
「そーゆー問題じゃねえ!」
なんつーもん作ってんだ、雪男。そんなもん作るために祓魔塾の先生はおまえに悪魔薬学教えたんじゃないと思うぞ。まったくもって嘆かわしい。
「ていうか、こんなときにそんなこと言わないでよ。ムードなくなるじゃない」
雪男は仰向けになっていた俺の身体をひょいと裏返し俺の尻に先ほどの液体をべとりと擦り付けた。
「なにがムードだ・・・・・・」
こんな風に乱暴に俺を扱っておいてムードなにもあったもんじゃない。
それよりも、いまどきの高校生がムードとかいうか?どんだけ親父なんだ、雪男。
「ほら黙って」
「んっ」
雪男は俺を黙らせるために口元に指を押し当てて、その逆の手の指を、液体のぬめりを借りて後孔にするりともぐりこませた。
悲しいかな行為に馴れた俺のそこは指一本程度だったら楽々と呑み込んでしまう。しかし、だからさっそく二本目を、とならないのが雪男なのだった。
雪男は入口を緩めるために何度も指の先っぽを出し入れする。入口がちゅくちゅく液体が音をたて、見えてはいないのにそこで何が起きているかをリアルに俺に伝えてくる。
「・・・・・・っ・・・・・・ふっ、ん」
入口が解けてくると、今度は浅い部分の襞に液体を丹念に塗り込めるようにぐりぐりと指を回した。そうすると、いつものことだが入口のあたりがぼわっと熱をもってむず痒いような感覚が抑えきれなくなる。
「・・・・・・ゆ、きお・・・なぁ」
もっと奥もやって欲しくて尻尾をぱたぱたふると、雪男にそれを掴まれてはむっとあまがみされた。
「兄さん、かわいい」
こういうのを猫なで声というのだろうか。ちらりと後ろを向くと雪男がとろけるような顔をしていた。雪男の顔に食べてしまいたい、と書いてある。
兄さん、おまえのどこらへんのツボをついちゃったんだろうか。と心配していると、雪男は本格的に俺の尻尾をくりくりいじったり舐めたり噛んだりしはじめた。
「ちょ・・・・・・や、ゆ・・・っ、それ」
ビクリっと身体が跳ねる。それはまるで前をいじられた時のような直接的な快感だった。
「なに?兄さん、尻尾で感じてるの?」
雪男は初めて知った事実に驚きの声を上げた。驚いたのはこちらも同じだ。悪魔にとって尻尾は急所。へたにあたったり踏まれたりしたら激痛で大変なことになるのは知ってたけど、こういう意味でも急所だったとは・・・・・・。やっべ、むやみに外だしててその気になっちゃったらどうすんだよ。
「へぇ、そうなんだ」
あ、今なんか最もやばい人物に最大の秘密をしられてしまったんじゃないだろうか。
雪男はちょっとうわずった声でそう言うと手にした尻尾をゆっくりとしごいた。再び俺の身体にぞくりとした快感なんだか恐怖なんだかわからないものが沸き上がる。
「・・・ぁ、あ、あん・・・はぁ」
「すごいね、もしかして前いじるより感じてるんじゃないの?」
そんなわけはないと思いつつも雪男のいうとおりハンパない快感が頭のてっぺんまで駆け抜けていく。前は完全に勃ちあがっていて先走りの液がとろとろと溢れている。
「ゆ・・・きっ、やぁ」
「これからはこっちを中心にいじってあげようか?ね、兄さん」
雪男はいやらしく唇を横に引きながら俺の尻尾のどこを触ったら一番喘ぐのかと根元から順に辿っていく。
「やっ・・・だぁ・・・・・・あっ」
「ほら、やだやだいってないでどこがいいのか言って」
雪男はわざと俺の声が一際高くもれるところを指先でこする。脳天に痺れるような感覚が走って、がくがくと身体を揺らした。もう、だめだ。
「も……ぉ」
「もう?なに?」
口元をにやにやさせた雪男が俺の顔を覗き込んでくる。
「もう、いい加減にしろー!変態メガネ!」
たまらず俺のアッパーが雪男の顎に直撃した。
「兄さん。ごめん、調子に乗りすぎた」
俺が枕に突っ伏してしくしく泣きまねをしていると雪男がしゅんと頭を垂れている。殴られた拍子で眼鏡が幾分がたついて斜めになっていたが、それも気にせず反省モードだ。
こういう雪男もたまにはかわいくていいなぁなんて思ったりするが、この姿をみるための代償は結構大きい。
「俺やだっていったのに」
「だからごめん。二度としない」
雪男は本当に深く反省したのか、固く決意したというように宣言するので俺はあわてて身を起こした。
「べ、別に全然だめって言ってなんかないぞ。ほどほどにしろってことで」
変に頑固で真面目な雪男はこういう勘違いを早めに解いておかないとあとで大変な目にあうのだ。二度と俺に触らないとでもいわれたらたまらない。
俺はぽんぽんと雪男の頭を叩く。雪男は大人しく俺の肩口に頭を乗せている。
「わかればいいんだよ」
「うん、ごめんね」
雪男は謝罪の意味をこめてか、俺の頬にちゅとキスをする。なんだか、それがすごくかわいらしくて久しぶりに兄貴としての父性本能?に火がついて、お返しに額や目元や唇にキスを返してやった。ちゅ、ちゅと音を立てて、バードキス。なんか、いいかんじだ。これが雪男のいってたムードってやつなのかな。
そんなことをお互いに繰り返していると、いったん治まった熱がまたじわじわとわきあがってくる。
「兄さん……」
雪男もやる気になったらしい。甘く漏れる声音に、ちらりと閉じていた瞼の隙間から雪男をみると、雪男が先ほどの液体を自分のものになすりつけている。
そんなに大きくしてんなら、早く入れればよかったのに。
雪男は十分に育ったそれを、俺の脚を抱え上げて目的の場所へと押し付ける。ぬるり、としたものが敏感な場所にあてられて、俺は思わず声を上げた。
「…あっ……っ」
散々いじられた後のそこは、入り口のちょっとした抵抗だけで、雪男を迎え入れる。ぬめりに助けをかりて、雪男はぐいぐい腰を進めてくる。
「う…んぅ……はっ」
どうしてか雪男は入れる前はどこまでも慎重なのに、入れてしまえば案外性急になる。ぐいっと奥まで入れて、もう、これ以上中に入らないと思うところにいきつくと俺の腰を抑えつけてがんがん揺さぶる。
「あ、あ、んっ――はぁ」
俺は腹の下の方をかき回されて息も絶えだえになる。ほとんどまともな呼吸なんかできなくて、喘ぐのと同時に辛うじて空気を補給するといったかんじだ。
苦しい。吐き気に近い胃のせりあがりを感じることもときどきある。たぶん、いれる前の方がよっぽど気持ち良くて、身体的には楽なんだろうけど、俺はいつも雪男に早くいれろっていう。いれて欲しいと思うのは、俺の心の働きだ。身体とは別の、もっと、違った。
「兄さん……」
雪男の額から流れた汗が俺の顔の上にぽつぽつと落ちてくる。見上げると、眼鏡が汗で曇っていたので外してやる。雪男は一瞬眉をしかめて嫌がる動作をしたが、俺をせめたてる方が忙しくて拒むほどではない。
眼鏡をとった雪男はいつもの優等生じゃなくて素の雪男に近いような気がして好きだ。たった眼鏡ひとつのはずなのに。
眼鏡を外されて俺のことをしっかり見ることができなくなったからか、雪男は自分の快楽の方に没頭しはじめたようだ。きつく目を閉じて、顔を紅潮させ、息を荒げてる。
「……っ…はっ」
「ゆっ……き…お、あっ、あ」
雪男の顔をみて、雪男の名前を呼んでいると胸の奥がぎゅっと熱くなった。愛しさと、切なさとそんなものが交じり合って泣きたくなってくる。そうなると、兄弟なのにとか、男同士なのにとか、弟なのにとか、口には出さないけど本当はいつも俺の中にくすぶっているそういう気持ちが、どうでもいいことのように思えてくる。
ばかな俺だってこの関係が普通じゃないってことはわかってる。心も身体も雪男で満たしてしまって、それですべてが満足できてしまえる俺は、そして雪男をそんな世界に無理やり引きずり込んでしまっている俺は、やっぱり人として正しくなく、悪魔といわれてもしょうがないんだろう。
「ぁ…あ……はっ…んぅ」
「兄さん……っ……っ」
どろどろと身体が溶けていく。肉襞は雪男のものをぴったりと包み込んで、断続的に痙攣した。雪男の動きが激しくなって、ぐちゃぐちゃと湿った音を立てた。身体が熱くて、熱くてどうしようもない。下半身は特に。急激に射精感が高まって、俺は雪男の腕に爪を立てた。
「いっ……あっ…ゆ…きおっ、も、だめっ…あ、あっ」
「イきそうなの?」
こくこくとうなずくと、雪男の手が俺の勃ったものに添えられた。そのまま激しく動かされて、俺は悲鳴のような声を上げた。
「あ、あ、いっ……あああっ」
「―――っ」
身体の奥に熱いものがどろりと吐き出された感覚がして、俺は自分の欲望を放った。ぞっとするほどの快感が全身を突き抜ける。そして、失墜感。
それは地獄の底に落とされる恐怖にも似ていた。俺がいつも抱き合った時最後に抱く妄想。実の弟を貶めている背徳罪でいつか自分は虚無界に落ちてしまうのではないかという、そんな妄想。
「兄さん――」
ぎゅっと雪男に隙間なく抱きしめられて、俺は自分のばかげた妄想からようやく引き上げられる。
「大丈夫?」
雪男が顔を覗き込んでくる。俺は泣き顔をみられたくなくて、雪男の首元に顔をうずめながら、背中に腕を回す。小さな子供が親にしがみつくみたいに。
「どうしたの、兄さん。そんなにぴったりくっついたら離れられないじゃない」
すると、俺の中から出ていこうと腰を引いていた雪男がふっと笑った。
「離れる必要なんてないだろ」
「なに、それ」
ますますおかしそうに雪男が笑い声をあげる。兄さん、子供みたいだと言うので、子供で悪いかと返したら、キスをされた。
やっとひとつになれたんだから、離れるなんてもったいない。そういったら、おまえ、どうする?
いつも早くいれろって騒ぐのは、おまえと早くひとつになりたいからなんだっていったら、おまえ、どうするんだよ。雪男。
「しょうがないなぁ。今日だけだよ」
そういって、おまえは俺を甘やかすから。俺はどこまでもつけあがって、最後にはきっとおまえを喰らいつくしてしまうんだろう。
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