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sophora

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噛み砕き、押し潰す2【メフィ燐】

前回の続きです。
雪男編を書く予定だったんだけどなんでメフィ燐になったんだろう・・・・・・?
燐受けにおけるメフィストは鬼畜紳士であればいいと思う。(藤メフィのときとのギャップが恐ろしいことになっていますが)

それにしても雪男はどこで何やってんのかなぁ。兄さんを想いながらぐるぐるしてんだろうなと言う感じです。

あいかわらず腐向けですが(それ以外だったことがあるのか)よろしければ続きからどうぞ。
 青い海、青い空が広がる南の島は、どんな状況でも開放感を味合わせてくれる。
 騎士團の悪魔狩りから逃れるために正十字学園町を離れて一年が経とうとしているが、逃走中という立場とは思えないほどリラックスした姿のメフィストはこの矛盾した状況をひどく楽しんでいた。
 日本の侘、寂を愛してやまないメフィストだが、天国に一番近い島と銘うたれたこの場所を隠れ家のひとつとして選んだのも悪くはなかったと、カウチに横になりながら思う。現在、メフィストは高級ホテルのコテージを貸しきって、リゾート気分を満喫していた。
「ここに滞在してから、どのぐらい経ちましたかねぇ」
 メフィストは、ひい、ふう、みと長い指を折っていく。
「ああ、もう四ヶ月目ですか。騎士團も情けないですね、こんなに時間を残してさしあげているのに、まだここをみつけられないとは」
 それは、このコテージにメフィストが強力な結界を張っているためもあるのだが、そのことはさておき、メフィストは実に楽しそうに騎士團をこき下ろす。
「ヒントはいくつかあげていると思うのですがねぇ。それに、彼が散々痕跡残しているはず・・・・・・」
 と、メフィストがその『彼』のことを思い出していると、まさしくその人物が扉の向こうから転がりこむように現れた。
「・・・・・・メフィスト」
「ああ、おかえりなさい。今日はひどいですね、びしょぬれじゃないですか」
 毎度のことながら、帰ってくるたびひどい格好だ。手に倶利伽羅を握り締めているのは変わらないが、後は衣服がぼろぼろになっていたり、埃だらけだったり、傷付けられることなどめったにないけれども、治りかけの傷が残っている場合もある。
「向こうは雨が降ってたんですか?」
 メフィストが尋ねると、燐はこくりとうなずいた。声を出す気力も残っていないのか、ずぶぬれになってうつむく姿はどこか幽鬼のようだった。
「とりあえず、その身体なんとかしてくれませんかね。床が水浸しになる」
 そういって、メフィストは燐の脇に腕を入れて担ぎ上げると、広々とした浴室まで連れて行き、なすがままになっている燐をそこへ下ろした。
「それで、弟には会えたんですか」
「・・・・・・・・・」
 燐は力なく首を振る。そうですか、と興味なさげに返して、メフィストは燐の服を脱がせていく。
 メフィストがこの部屋につながる鍵を燐に渡したのは三ヶ月前のことだ。
 騎士團から追われ、世界中を転々とし、ようやく落ち着いた隠れ家をみつけたものの、燐は弟が騎士團側についたと知って人形のように無気力になってしまった。
 気分転換になればと思って渡したつもりの鍵だったが、その鍵を手にして燐がし始めたことは、各地の支部を回って弟の存在を探しだすことだった。
 騎士團からの刺客になったはずの奥村雪男だったが、燐たちとの最後の会合以来その存在は騎士團によって隠されている。どこかに幽閉されているのか、それとも燐をおびき寄せるための餌として扱われているのか。どちらの可能性も十分に考えられるとメフィストは思っていた。
 重要なことは、おびき寄せられているとわかっていて、あえて燐がその中に飛び込んでいくということだ。どれだけみつからなくとも、諦めることなく。それはさながら母鳥を探す雛のような必死さだった。
 私たちは騎士團から指名手配中の身なんですがねぇと苦言を呈してみても、燐は聞く耳を持たない。何がしたいのかと尋ねれば、弟に聞きたいことがあるのだという。逃走犯が自らの危険を顧みず、渦中に飛び込むなど聞いたことがない。
 面白い子供だ、とメフィストは思う。メフィストが人間を傍に置いて飽きることがないと思ったのは、彼の養父を含めて二人目だ。
「やはり、どこかに隠されていると思った方がいいんでしょうね、ここまでみつからないとなると」
 メフィストは燐を裸にすると、頭の上から熱いシャワーを浴びせ掛けた。自分の服も濡れてしまうが、どうせ汗をかいて着替えようと思っていたところだ。かまわない。
ザァァッと大理石の壁に勢いよく水滴が跳ね、激しい音を立てる。その音にまぎれながら、メフィストは話を続けた。
「可能性が最も高いのはヴァチカンですが。あそこは、ある意味鉄壁の城塞ですから。なかなか包囲網を突破するのは難しいと思いますよ。それでも行く、というならおつきあいしてもかまいませんが」
 ああ、それもおもしろいかもしれない。二百年、騎士團に汲みしてきた悪魔がとうとう叛旗を翻す。思う存分力を解放し騎士團を壊滅状態に追い込むのも手だ。メフィストと燐が本気になれば、それもまた不可能なことではないだろう。
 が、そこまで考えて、いや、やはりそれは難しいだろうとメフィストは思い直す。
 そんなことをすれば、騎士團は雪男を盾にするだろうし、雪男を盾にとられれば、燐は騎士團の言うなりになり、その身を差し出しかねない。だが、ここまで育て上げた武器をやすやすと騎士團に渡す気はメフィストには当然ない。
「さて、どうしましょうか」
 うつむき、濡れそぼった燐はメフィストに問い掛けられて、小さく首を振る。どうしました?と尋ねると、燐はやはり頭を振り続ける。
 メフィストは眉を顰めて、燐の頤に指をかけ、上を向かせた。潤んだ瞳がメフィストを見上げる。そして、燐はその瞳から大粒の涙を溢れさせた。
「もう、いやだ」
「いやだ、とは?」
「もう、むりだ」
 震える声で、耐え切れないと訴える燐は縋りつくようにメフィストの袖を掴んで揺さぶった。
「何がむりなんです」
「なにも、かも」
 たとえば、会いたくてたまらない弟と会えないことだとか。ついこの間まで仲間であったはずの祓魔師たちから追われていることだとか。戦いを繰り返し疲弊していく身体も、迫害されているという心のダメージも、すべてが燐にとっては我慢できないことなのだと。
 十数年しか生きていない子供にとって、それは確かに耐えがたい苦痛なのだろうとメフィストは思う。悪魔なのに、悪魔になりきれないこの未熟な生き物は簡単に傷つく。そして時折思いがけない強情さをみせたりもするから面白いのだが、今はただ壊れやすいガラス細工のようだとメフィストは興味深く燐を眺めた。
「それで、貴方はどうしたいんですか」
「俺、は」
 燐の瞳が揺れる。そんな問いをされるとは思ってもみなかったのだろう。困惑した表情で見上げてくる燐にメフィストは口角を横に引いて笑った。
「なにもかも、投げ出して、あきらめますか。弟のことも、祓魔師になるという目標も。仲間たちのところへ戻るという希望も、すべて」
 くしゃり、と燐の顔が歪む。燐の心の柔らかい場所をわざと抉るように、メフィストは続ける。
「それとも、こんな状況に貴方を追いやった騎士團に復讐でもしてみますか。悪魔と呼ばれるならば、その名の通り残虐に、彼らを蹂躙してみせますか」
 燐は怯えたように身をすくませ、やはり頭を何度も振る。メフィストの言葉に戸惑いと恐れを感じたのか、ぎゅっとメフィストの腕を掴む。
「わか、らない。もう、なにもわからないんだ。どうしたらいいのか、どうしたいのかも」
「そうでしょうね」
 メフィストは先ほどまで燐を追い詰めていた言葉を和らげ、慰めるように燐を抱き寄せた。もっと痛めつけ、その心を抉るようなことを言ってやってもいいのだが、今はその時ではないだろう。壊れやすいものを簡単に壊して楽しむような趣味はメフィストにはない。壊れやすいものは壊れる寸是で愛でるのがいいのだといつも思っている。
 メフィストは燐の濡れた身体で服がぐっしょりと濡れるのも構わず、その身体を抱え上げた。共にシャワーにあたりながら、凍えるように強張った燐の身体をほぐすように優しく揺らす。次第に緩んでくる燐の身体を壁に押し付けて、覆い被さるように口づけた。
 一年かけて慣らすように何度もキスをした。そこから快楽を引き出すことも覚えさせた。それ以上手を出さなかったのは燐の方からそれを求めてこなかったからなのだが、多分、強引にメフィストが抱こうとしたら燐は拒まなかっただろう。
「どうして欲しいですか」
 メフィストは唇を離し、燐に尋ねる。状況に流されて抱かれてしまってもかまわないと思っていることは知っている。むしろ、それを望んでいるということも。だが、メフィストはあえて燐に求めさせる。真実、メフィストを求めているのは燐自身なのだということをわからせるために。
 燐はメフィストの口付けに酔った目で、うわ言のようにつぶやく。
「・・・・・・噛んでくれ」
 メフィストが燐の言葉どおり、その唇に噛み付く。尖った歯が唇を突き破り、血が溢れる。メフィストはそれを舌で咥内に押し込み、燐の舌と己のそれとを絡み合わせた。
 燐は口付けの合間に空気を求めるように喘ぐ。そして、すぐさまメフィストの唇を求めて喰らいつく。
「ん、ん、ぁ・・・・・・っ」
 思う存分、咥内をかき回してやって、唾液をすすり、キスだけでは足りないと燐の身体が訴え始めるのを見定めて、メフィストはもう一度燐に聞いた。
「どうして欲しいんです?」
「・・・・・・めちゃめちゃに、して」
 メフィストは燐の答えに大きく笑みを浮かべ、その身体を抱え上げる。そして、浴室を出るとびしょ濡れのまま、寝室へと移動した。
 スプリングの利いた広いベッドに燐を横たえさせる。すると先ほどの怯えた表情は消え失せ、熱に浮かされた顔でじっとメフィストを見上げてくる。どこか自己破壊的な色を帯びたその瞳が、噛み砕き、押し潰して欲しいと叫んでいる。
 破壊は悪魔の本分だ。求めるのならば、十二分に与えてやろう。
 メフィストは魅惑的な笑みを燐に向けた後、喰らいつくようにその身体に覆い被さった。

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プロフィール

HN:
如月 ちょこ
性別:
女性
自己紹介:
■ 青の祓魔師二次創作
 テキストサイト。腐向け。
■ 雪燐中心です。
   藤メフィもあります。
■ 書店委託開始しました。
   詳細はofflineで。

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